先日青森県が実施しているエコ農業研修で土壌作りの講義を受けてきました
この研修がかなり面白くて、農業における科学的思考の重要性を強く感じたので
備忘も兼ねて講義の要約を記します
講師は東京農業大学名誉教授の後藤逸男先生 先生のHP
(自分の名前のHPがあるのは大学教員あるあるですね笑)
講義の要約
- 土づくりとは土を健康にすることであり、土と肥料の科学が不可欠
- 健康な土とは物理性/化学性/生物性の三要素から成る
- 土壌診断に基づいた施肥管理の徹底が必要
- 「有機は善、化学は悪」ではない
1.土づくりとは土を健康にすることであり、土と肥料の科学が不可欠
肥料は施用すればするほど良いと思われがちだが、
過剰施用によりある特定の成分だけが高くなってしまうことで、
植物自体の病気や土壌病害が発生するリスクが高まる
後藤先生の言葉を借りると、人間と同じように土にも血圧やコレステロールのようなものがあり、
食べなければ痩せ、養分過多でメタボになるとのことです
2.健康な土とは物理性/化学性/生物性の三要素から成る
この三要素の詳細は下記です
- 物理性
-
土の団粒化により適度な隙間があることが重要
これにより適度な「水はけ」と「水持ち」が実現可能となる - 化学性
-
pH-陽イオン交換容量を適度な量に保つことが必要
これにより可給態リン酸過剰や土壌酸性化の回避が可能となる - 生物性
-
腐食を減らさないために有機物の適正補給が必要
腐食は土中の動物・微生物の餌となるため、土壌生物の多様化が実現可能となる
重要度で言うと 物理性 > 化学性 > 生物性 だそうです
3.土壌診断に基づいた施肥管理の徹底が必要
自分の畑の土壌診断を行うことで、養分の過不足を知り
それぞれの農地に必要な要素を科学的に考えて施肥することが重要!
(後藤先生が土の研究者かつ自身の会社で土壌診断事業を行っているというポジショントークもあると思いますが、私は自分の畑の土を診断してもらいたいと思いました)
4.「有機は善、化学は悪」ではない
※この段落は講義を受けた私の感想が大半です
本講義は有機農法などの謂わゆる「地球にやさしい農業」に関心がある農家向けの研修として行われました
私は完全有機で栽培したい!という思想はないのですが、有機農業の実態・中身が気になり参加しました
最近は農業に関わらず環境への配慮を重要視する声が大きくなっていて、その流れには概ね同意します
しかしこの流れの中で、「盲目的に化学肥料を使った野菜は悪だ!」のような趣旨の発言を
耳にすることも増えたなと思っており、これには違和感を覚えていました
そんな中で今回の講義で先生が言ったコメント
適度に化学肥料を用いて土の健康を保つことが、病害の予防につながり、健康な青果物の栽培が可能になる。
消費者の化学肥料に対する正しい認識が必要。
この発言がすごく腑に落ちたんですよね
農薬・化学肥料が悪!という言葉を全て真に受けるのではなく、
それぞれのメリットデメリットを把握して考えた上で、
消費者が自分の考えに基づいて、購入する農家・農産物を決めるのが理想なのかなと思いました
最後に
話は逸れますが、最近研修先では農作業をしている中で、作業の根拠が ”経験からくる勘” となりがちで、
「再現性を保てるのか?」と疑問を持つことが何度かありました
経験が浅い私がベテラン農家と勝負できるようになるには、何事もデータ化・見える化を行い、
可能な限り再現性を高めるのが近道なのかなと思っています
将来的に雇用を行って経営規模の拡大を見据えると、見える化を徹底してマニュアルに落とし込み、
属人性を限りなく無くすことが不可欠ですよね
(工場とかではごくごく当たり前に行われていることですが、農業においては浸透していないように感じます)
また私自身は、誰もが同じレベルで作業できるような環境を整えることで、
障害者・高齢者でも労働可能な環境となり、健康な農作物を育てる以外にも、
働き手のやりがい・幸せにも繋がる畑を作りたいと強く思います
これらを実現するためにも、理系院卒の経験を活かして科学に基づいた農業を実現したいなぁ
おわり